1000冊以上の取材でわかった、本当に役立つ小中高ノートの取り方

勉強法

はじめに:自ら学ぶ力を育てるノート術

私はこれまでたくさんのノートを取材してきました。取材を始めてもうすこしで15年。その間、東大生から始まり、文豪やノーベル賞受賞者、働く大人のノートに今、まさに勉強で悩んでいる小中高生のノートなど、1000冊以上のノートをみてきました。

 そんな取材のなかで見えてきたことは、「ノートは自ら学ぶ力を育てる」ということです。勉強に役立つノートをとれるようになれば、学習習慣が身につき、結果として成績があがります。私が取材してきた東大合格生の多くは、試行錯誤しながら勉強に役立つノートを見出し、その結果、東大合格に導いた美しいノートを書いていました。ここでは、ノートの取り方の基礎を身につける小学生のときと、定期テストを基準にノートの取り方を試行錯誤していく中高生のときに分けて、ノートの取り方を、ご紹介いたします。

小学生:ノートの取り方のコツ

小学生とのきに身につけてもらいたい力は6つ。

「ノートが書きたくなる6つの約束」

約束1 ノートは、自分のために書こう

約束2 文字は、ていねいに書こう

約束3 心が動いたことを書こう

約束4 色は3色、ルールを決めよう

約束5 2本のラインで区切ろう

約束6 プリントは、ノートにはろう

この6つの約束のうち特に大切なのは、「約束1 ノートは自分のために書こう」と「約束3 心が動いたことを書こう」です。この二つは、主体的にノートを書く力につながります。

 まず、約束1について。小学生になると当然のようにノートを渡されるため、何も考えず、先生などから指示されたことを漫然と書いてしまいがちです。それでは、勉強に役立つノートは書けません。

ノートはなんのために書いているのか。もちろん、自分のために書いています。勉強していることを理解し、いつか見直したときに学んだ内容が思い出せるように書いています。

まずは、ノートは誰のためでもない自分のために書いているということを意識することが大切です。

そして、約束3。ノートに、黒板の内容を何も考えずただ写していては、学んだ内容は頭に残りませんし、楽しくありません。授業で学んだことを頭に残るようにするために、心が動いたことをどんどん書いて欲しいのです。黒板を見て、先生の話を聞いて、なるほどなと思ったこと、よくわからないなと思ったことなど、感じたことはそのままの言葉でノートに書いてみてください。

そうすることで、自分にしか書けないノートになっていき、勉強することが楽しくなってきます。

小学生の間から、自分のためにノートを書いているという意識を持ち、また、心が動いたことをメモする習慣ができると、中学生以降もどんどんとノートを進化させていくことができます。

中学生/高校生:東大合格生がやってるノートの法則

中学生になると定期テストがスタートします。テスト範囲も広くなるため、ノートを見直す機会が増えます。そこから、ノートをどう書くべきか悩む生徒さんも多いです。

中学生、高校生のノートの書き方は基本同じです。

ノートを書くときに大切なことは2つ。ノートを書くときの「目的」とノートを効率よくまとめる「テクニック」です。

 まず、ノートを書く際には、ノートを書く目的を明確にすることが大切です。目の前にあるノートを、自分は何のために書くのか。そして、そして書いたあとどう使うのか。

そうすることで、主体的にノートを書くようになるだけでなく、ノートに何を書くべきか、どんな風に整理していけばいいのかがわかるようになっていきます。

そしてテクニックは7つあります。

「東大ノート 7つの法則」

法則1 とにかく文頭は揃える

法則2 写す必要がなければコピー

法則3 大胆に余白をとる

法則4 インデックスを活用

法則5 オリジナルのフォーマットを持つ

法則6 ノートは区切りが肝心

法則7 当然、丁寧に書いている

 このうち、ぜひ取り入れてもらいたい法則は2つ。「法則1 とにかく文頭を揃える」と「法則3 大胆に余白をとる」です。

 「法則1」は、すべての文頭を左端に揃えるということではありません。大見出しを一番左端に書いたら、1〜3文字さげて小見出し、さらに1〜3文字さげてその内容を書いていく、という風に、内容ごとに文頭を揃えていきます。そうすることで、見た目がきれいになるだけでなく、どこに何が書かれているか一目でわかるノートになります。

 「法則3」は、言葉の通り、ノートは端から端までぎっしり使うのではなく、余白を多くとるということです。この余白は、ノートを見やすくするだけでなく、授業中の先生の解説を書いたり、復習の際に調べた知識など追加情報を書き込んだりと、理解を深めたり、知識の穴を埋めたりすることができます。

 中高生は、定期テストをうまく使って、自分に合ったノートの取り方を試行錯誤してください。目的を持ってノートを書く。定期テストの結果を見れば、そのノートの書き方がよかったのか、改善点があるのかが見えてくると思います。

 自分に合ったノートを見つけるのには少し時間がかかります。今回ご紹介した書き方を参考にやってみてください。

おまけ:ノートの色使い

「ノートに色は何色使えばいいの?」

学生さんからよくされる質問です。

ノートに色は何のために使うのか。もちろん、大切な部分を目立たせるためです。

そのため、色数が多いとどこがどれくらい大切なのかわからないノートになってしまいます。また、使う色が多いと、次にどの色を使おうかなと考えることで勉強への集中が切れてしまったり、頻繁にペンを持ち変えることで書くスピードが落ちてしまったりします。

 ノートに色を使う場合のポイントは、「色は3色、ルールを決める」です。

 シャープペンやえんぴつの黒にあと2色と、それらの色にルールを決めてほしいのです。

例えば…

黒色→黒板の内容などノートのベースになる部分を書く

赤色→一番大切だと思ったことを書く

青色→まあまあ大切なこと書く

そうすることで、書く際に色で迷ったりすることがなく、また、見直したときにどこが大事なのかすぐにわかるノートになります。

ちなみに、黒色以外の色は、自分の好きな色で構いません。

この話を読んで、「色が2色では足りない!」と感じる人もいると思います。でも、大切な部分を目立たせることは、黒だけでも十分にできます。筆圧を変えてえんぴつの濃さを変えたり、二重線や波線を引いたり、また、囲みを書くことでも、大切な部分を目立たせることができます。

色を使う場合の参考にしてください。

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